鉛直面での円運動(糸、棒、壁)その3

この記事は「鉛直面での円運動(糸、棒、壁)その1、その2」を読んだことを前提に書かれています。

有名題3

長さrの糸に質量mPをつけ、最下点で初速v_0を与えて回すとき、Pが1回転するためのv_0の条件を以下のように求めてみよう。

(1)半径方向のつり合いの式を求めよ。

(2)エネルギー保存の式を求めよ。

(3)(1)と(2)を連立させて、T\thetaの式で表せ。

(4)\theta=2\pi であってもT \textgreater 0となるようなv_0の条件を求めよ。

(5)Pが1回転する条件を求めよ。

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さっそく解いてみましょう。

(1)半径方向のつり合いの式を求めよ。

回転系を使うと、図より半径方向のつり合いの式は20150520_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

T+ mg\cos(2\pi-\theta) - m\frac{v^2}{r}=0

となります。ここで2\pi-\thetaは、「平行線の同側内角の和が2\piになること」から出しています。変形して

T - mg\cos \theta -m\frac{v^2}{r}=0      ←\cos(2\pi-\theta)=-\cos \thetaですからね

T= mg\cos\theta + m\frac{v^2}{r}

(2)エネルギー保存の式を求めよ。

位置エネルギーを書き表さないといけないですよね。高低差を調べるために、一度外から見た系で図をスケッチしましょう。

20150520_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\frac{1}{2}mv^2 =\frac{1}{2}mv_0^2 -mgr(1-\cos \theta)

これがエネルギー保存の式となります。図さえ書いてしまえば…というところでしょうか。なお、\theta\frac{\pi}{2}を超えているので、図と符号の一致に注意してください。

(3)(1)と(2)を連立させて、T\thetaの式で表せ。

T\thetaによってどう変化するか調べてみましょう。(2)の結果を変形して

\frac{mv^2}{r}=\frac{mv_0^2}{r}-2mg(1-\cos \theta)

(1)の結果に代入して

T=mg\cos \theta+\frac{mv_0^2}{r}-2mg(1-\cos \theta)

 \raisebox{.2ex}{.}\raisebox{1.2ex}{.}\raisebox{.2ex}{.} T=\frac{mv_0^2}{r}+mg(3\cos \theta -2)

これでT\thetaの関係がわかりました。T\textless 0になると、糸がたるんでしまうのでしたね。

(4)\theta=\pi であってもT \textgreater 0となるようなv_0の条件を求めよ。

不等式T\textgreater 0\theta=\pi のもとで解きます。\cos\pi=-1ですから(3)の結果に代入して

(T=)\frac{mv_0^2}{r}+mg\left\{3 \cdot(-1)-2\right\}\textgreater 0

\frac{mv_0^2}{r}-5mg\textgreater 0

v_0^2-5gr\textgreater 0

v_0\textgreater\sqrt{5gr}

このようなv_0であれば、糸がたるまないことになります。以上(1)〜(4)までの結果前投稿(有名題2)の結果より、「棒ではなく糸の場合のPが1回転する条件」は

20150520_3

とわかりました。したがって求める条件はv_0\textgreater\sqrt{5gr}となります。棒のときよりも、v_0が速くないといけない、より厳しい条件が課せられていることになります。

この話題は以上です。いかがだったでしょうか?直感と少し違う感じもしたのではないでしょうか!?

ではまた。