鉛直面での円運動(糸、棒、壁)その1

こんばん(にち)は、大魚です。

今日から数回にわたって、この時期につまずきやすい、不等速円運動の問題を取り上げてみましょう。

[有名題]

20150517_1

長さrの糸に質量mのおもりPをつけ、水平にして放し、円運動させる。
(1)最下点Aでの糸の張力T_Aはいくらか。
(2)点Bでの張力T_Bはいくらか。

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この問題では2通りの座標系を使って解くことが出来ます。1つは外から見た系、もう1つはおもりを固定した系(ここでは回転系と呼んでみます)です。どちらでもよいですが、回転系を使って解くと「慣性力m\frac{v^2}{r}が出現するかわりに、おもりが動いていることを頭の中から忘れることが出来る」ので、私はそちらの方が好きです。なお、慣性力m\frac{v^2}{r}は暗記事項です。ではさっそく。

(1)回転系にて
20150517_2

回転系から見るとおもりは動いていませんから、つり合いの式を立てることが出来ます。半径方向のつり合いの式は、図より

 T_A-mg-m\frac{v^2}{r}=0  …(a)

エネルギー保存則は

 \frac{1}{2}mv^2 = mgr …(b)

(b)より

 \frac{v^2}{r} = 2g

(a)に代入して

 T_A -mg -2mg = 0  つまり  T_A=3mg  これが答えとなります。

(2)回転系にて
20150517_3
やはり回転系から見るとおもりは動いていませんから、つり合いの式を立てることが出来ます。半径方向のつり合いの式は、図より

 T_B - \frac{1}{2}mg - m\frac{v^2}{r}=0  …(c)

エネルギー保存則は

\frac{1}{2}mv^2=mg\frac{r}{2} …(d)

(d)右辺の\frac{r}{2} は、点Pと点Bの高度差になります。(d)より

 \frac{v^2}{r} = g

これを(c)に代入して

 T_B - \frac{1}{2}mg -mg = 0  つまり T_B = \frac{3}{2}mg これが答えとなります。

 

本日はここまでです。

次回は、この糸が棒に変わったり、あるいは糸でも棒でもなく小球が壁を這っていたりするときに、このパターンの問題がどうなるのかを取り上げたいと思います。